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東から昇る朝日が窓辺に暖かな光を注ぐ。
そんな中、未だ真新しい制服に身を包んだ少女は手慣れたように首元のネクタイを締めた。
中学時代はセーラー服だった為、ネクタイは高校の制服で初めて結び方を覚えたのだが、毎日のように結んでいればすぐに慣れるものである。
それに、少女はこの高校の制服をとても気に入っていた。
ネクタイを締めると、どこか気も引き締まるような感じがするからだ。
「よしっ」
鏡に映った自分の姿をチェックすると、少女はひとり頷いた。
そこには絵に描いたような、いかにも真面目そうな少女が映っていた。
二つに分けた三つ編み。
そして、大きめレンズの茶ぶち眼鏡。
ある意味、地味な女学生の典型のようなスタイルだが、少女はこの姿を割と気に入っていた。
少女の名は、如月紅葉。高校一年生。
4月生まれの彼女は、先日十六歳になったばかりだ。
時計を確認すると、いつも家を出る時刻が迫っていた。
紅葉は机の横に置いていた鞄を手に取ると、慌てて自室を後にする。
そして、いつも通り母の寝室をそっと覗くと。
「行ってきまーす…」
夜勤帰りで既に眠っている母を起こさないように小さな声でそれだけ言った。
紅葉の家は現在母子家庭で、母は毎日夜勤で仕事に行っているのだ。
朝方帰って来た母と共に早めの朝食を取り、母は就寝。そして自分は学校へ。
そんな生活をするようになって、もうすぐ一年が経とうとしていた。
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