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「それは確かにそうだね。でも、圭ちゃん、ブレザー姿すごく似合ってるよ。見た目はすっかり高校生しちゃってるかも」
中学の時は学ランだったので、これはこれで新鮮だと思う。
どちらかと言うと圭ちゃんは童顔で大人しいイメージの男の子で、『カッコイイ』というよりは『カワイイ』タイプなのだけど。制服が変わり、ネクタイを締めているだけで何だか大人っぽく見えるから不思議だ。
紅葉が素直に思ったままを口にすると、圭は少しだけ照れた様子を見せて笑った。
「ありがと。紅葉だって似合ってるよ。その制服」
「えへへ」
二人して褒め合い、互いに照れて…。傍から見れば何ともこそばゆい会話ではあるが、二人は大抵いつもこんな感じで、のほほんとしているのが常なのだ。
「そう言えば、紅葉…」
「ん?」
暫く歩いていて、何かを思い出したように圭が口を開いた。
「最近、良く…眠れてる?」
「うん?寝てるよ?」
首を傾げながら質問の意図を探るように見上げると。
言外に「何でそんなこと聞くの?」と、問われている気がしたのか圭は慌てるように笑顔を見せた。
「ならいいんだ。別に深い意味はないんだ。ただ…」
「…?」
「最近、割と早い時間に紅葉の家の電気が消えてたからさ。早く寝てるのかなって思っただけだよ。昨日も僕が塾から帰る頃には消えてたみたいだし」
「あ、うん。確かに、この頃は早く布団に入っちゃってたかも」
記憶を辿るように人差し指を顎に当てて言った。
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