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 雪が今にも振り出しそうな、雲に覆われた空。白い息を漏らす横顔を見る。黙っていれば人形のように整った横顔は、後悔しているように唇を噛んでいる。時折見せる雪平のこういう表情が、南の胸を締め付けていた。 「寒」  噛んだ唇を隠すように、雪平はマフラーを引き上げる。ちらりと、こちらを見た。 「何テンション下がってんだよ。俺と出かけたかったんだろ?」 「そうですよ。雪平さんの健康のために」 「……介護?」 「え、違うんですか?」  雪平が何か言い返してくる前に、目的地に着く。いつも昼時は混んでいる喫茶店は、雪の予報もあってか、少し空いている。昔ながらの純喫茶は、南が一人で入るには気が引けてしまうが、外見だけは綺麗で憂いのある表情(寒くて活気がないだけだが)をする雪平にはお似合いで、二人でならば気兼ねなく入ることができた。 「何食べます?」 「たまごサンド」 「飲み物はコーヒーでいいですか?」 「おう」 「雪平さんって小食ですよね」 「ま、育ち盛りの高校生に比べたらな」 「絶対高校生の時から細かったでしょう。……あれ、雪平さん学校行けたんですか?」 「お前……馬鹿にしてんのか?」 「いや、雪平さんの引き込もりっていつからなのかなって」
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