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 芳野雪平というのがこの男の名前で、雪という名に相応しい色白な肌と、黒目がちの大きな目が特徴的だった。言葉遣いも汚ければ放っておけばゴミ屋敷となる散らかり放題な部屋に住みながら、この男は外見だけは綺麗だった。 「そうですね。雪平さんに会いたくて来ちゃいました」  南もにっこりと笑って返すと、それが雪平には予想外の反応だったのか、呆気に取られている。その隙を見逃さなかった。 「ぎゃあ!」  悲鳴が上がるのにも構わず、毛布を剥ぎ取る。長袖のTシャツ一枚だったから、近くにあったジャージを着せる。そしてその勢いのまま寝室の窓も開けた。 「リビングはもう窓閉めますから、あっちに行きましょう」 「てめぇ……いつからそんな悪知恵働くようになった」 「雪平さんと会ってれば皆捻くれてくるんじゃないですか? ほら、熱いコーヒー淹れますから」 「はぁー、可愛いみーちゃんに会いたーい!」 「はいはい。みーちゃんはこれから部屋の片付けがありますから、コーヒー飲んで静かにしてるように。邪魔しないでくださいね」 「冷たい………」  項垂れる雪平を急かせて、リビングに戻る。寒い寒いと文句を言う雪平を無視して、窓を閉めて暖房をいれる。コーヒーを入れてブランケットをかぶせると、やっと静かになった。
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