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 南が片付けをしていると、退屈したのか寝足りないのか、ソファに横になってうとうととしている。寝顔は女神みたいなのにな、と思う。 「雪平さん、また一歩も外でてないんですか?」 「ん………?」  うとうとしていた雪平が寝惚けたような声を出す。 「いくら寒いからって、冬の間一歩も外出しないなんて無理でしょう? だいたい、仕事はどうしてるんです?」  高校生の南よりずっと子どもっぽい言動を繰り返しているが、芳野雪平は二十九歳の立派な成人男性だ。しかし、ずっと家にいる。  雪平は目をこすりながら起き上がった。肩まで届く髪が揺れる。 「俺は在宅の仕事なんですぅ」 「………」 「あ、今絶対嘘だって思ったな? 無職じゃねぇぞ! ちゃんと自分で稼いで生きてるからな!」  むきになるところがますます怪しい。それに、頻繁に美容院に行くのが面倒くさいからという理由で髪を伸ばすような雪平だ。こんな男が社会に受け入れられているとは思えない。南は雪平がニートの引きこもりだと思っているが、それは口に出さないでおく。 「じゃあ仕事はいいとしても、ずっと家にいるなんて健康のためにも良くないですよ」 「でも寒い」 「これまでどうやって生きてたんですか………」
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