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 気安いやりとりをしているが、南が雪平と出会ったのは一ヶ月ほど前のことだ。今までこの自堕落な男が一人で生活していたなんて信じられない。 「あったかくなったら外出るよ」 「熊ですか」 「おう。冬眠中」 「でも出会った時は」 「………あの時のこと話したら殺す」  一ヶ月前の出会った時のことは、雪平の前で禁句である。 「また雪平さんと外歩きたいな」 「もう引っかからねぇぞ、ガキ」  今のは本音だったのだけど。まあいいか。今度は見破ってやったぞと、なんだか嬉しそうな顔をしているから。  それでも、やはり冬中家にこもっているというのはいただけない。どうにかして外に出るように仕向けないと。自分が来て世話を焼いてしまうのがいけないのだろうか、とも南は思うが、自分がいなかったらいないで、別の人間に世話を焼かせそうだと思う。きっと、そうして生きてきたのだろうから。  一ヶ月ほどしか一緒にはいないが、その期間だけでも、〝そういう相手〟らしき人間を数人見たり聞いたりした。雪平が自分以外の人間と親しくしているところを想像すると、なんだか胸が苦しくなる。
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