第一章

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第一章

 ああ、毎日が退屈だ、窓の外にはただ昨日と同じ風景が広がっているだけだ。見えている空も昨日と同じように薄曇り。周囲の風景まで薄ぼやけて見える。  「はぁ」と小さいため息をついた。  思いの外そのため息が大きく聞こえて驚いて顔を上げる。大きく聞こえたのは、誰かのため息と重なったせいだったのだ。同じように驚いた顔をしたやつが目の前にいた。慌てていつもの作り笑いを浮かべる。こんなところでため息をついているのを見られるなんて失態だ。  「今日は、雨は降りそうにはないね」  当たり障りのない台詞でその場を通り抜けようとした時に、彼の眉根が寄った。  「それは僕に話しかけているのでしょうか?」  まさかそんな答えを返されると思っていなかった。他に誰がいるのかと思ったが、さすがにそうは言えず笑顔と言う仮面の下に本音を隠す。  「声をかけられて不快だったかな、失礼する」  「待ってください」  突然、腕を掴まれた。  「どうして私が不快だと感じたと、思ったのですか?」  この場を切り抜けようとしただけだった。まさかその言葉を捕まえられるとは思ってもいなかった。「何だこいつ……」そう思った、それがロイとの出会いだった。
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