第二話 セラフィの栄光

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また、オークションの開催場所にレオンは少々驚いた。 女王の国と呼ばれるカルド王国のブリリアン島にて行われると言うのだから。 カルド王国は未だ絶対王政によって統治されている前時代的な国であり、その全貌はほとんど知られていない閉鎖的な国でもあった。 しかしながら、自然に恵まれた非常に小さな王国であるためか、カルド王国の民は牧歌的な性格をしていると言われている。 王国内の自給自足が成立していることもあり、カルド王国の歴代君主のほとんどが名君とされている。 名君ばかりが続いている故に、絶対王政もまた続いているのかもしれない。 さらにレオンが驚いたのは、このオークションの目玉商品であった。 あの『セラフィの栄光』がオークションに出るのだと招待状に記載されていたのだ。 『セラフィの栄光』とは王家が代々受け継ぐ紋章を象ったネックレスのことを指している。 紋章にはエメラルドに似た色をした鉱石がふんだんに埋め込まれている。 セラフィマイトと呼ばれるこの鉱石はカルド王国でしか取れないものであるため、世界的に非常に貴重な資源なのである。 その価値は1カラットで100億円相当であるとか。 そんなカルド王国の至宝『セラフィの栄光』がオークションに出てくると言うのだ。 きな臭い匂いしかしない、とレオンは眉を顰めた。 その時、食堂の扉が雑な音を立てて開かれた。 レオンははっとして、扉を開いた人物に視線を送る。
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