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小田と真鍋は洋館の大きな門の前に立っていた。
真鍋は洋館を見上げ、興奮したように口を開いた。
「うわぁ、大っきいですねぇ!!」
真鍋の瞳が輝いている。
小田はそんな真鍋を無視して、門の横にあるインターフォンを鳴らした。
インターフォン越しに、丁寧な口調をした男性の声が聞こえてくる。
『はい、どちら様でございますか』
小田は、何やら気まずそうに頬を掻いた後、
「あー、と。昨日の夜に電話した者だが……」
その様子をインターフォンのカメラで確認していた男性は、微笑を浮かべた。
『小田泰造様と真鍋幸子様でございますね。お待ちしておりました』
ギィと音がして、洋館の門がゆっくりと開かれる。
『どうぞ、お入りください』
2人は門をくぐり、洋館の敷地へと足を踏み入れた。
しばらく歩くと、洋館の玄関扉の前に辿り着いた。
すると、今度は音もなくその扉が開いた。
そこにいたのは燕尾服を着た執事の男であった。
彼はインターフォン越しの声と口調で、丁寧な礼を見せた。
「ようこそ、西園寺家へ。応接室へご案内させていただきます」
小田と真鍋は、執事の後ろを付いて歩く。
玄関ホールの掃除は隅まできちんと行き届いていた。
しかし、ホールから応接室へ行くまでの廊下を見て、小田は眉をしかめる。
廊下に物が散乱している。
それだけではなく、泥の足跡がそこら中に付けられていた。
「これって……」
洋館の異常に気付いた真鍋は、上司である小田に視線を投げかける。
小田は何も言わず、頷く。
まるで誰か泥棒にも入られたみたいだな。
そのように推測を立てると、彼はくっと意地の悪い笑みを浮かべる。
その表情に真鍋は驚いた。
小田さんが笑っているなんて……なんか怖い……。
執事の男は、小田と真鍋の様子に目線をやるも、何も言わずまた何も感じさせず、黙々と汚れた廊下を歩いた。
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