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クルリと踵を返して廊下を歩き出した莉乃を慌てて俺は追いかける。
「莉乃、怒ってないの?」
「怒ってないよ。こんなことぐらいで。というより、こんな事で私が怒ると思われてる方が、誠の秘書としても彼女としても心外なんだけど?」
軽く睨みつけた莉乃すら可愛いと思ってしまう俺は、もう人として終わっているのかもしれない。
「ありがとう」
リビングに入るなり、もう一度莉乃を抱きしめて、久しぶりの莉乃にホッとする。
「言い訳だけど。俺、ホワイトデーを特別にしたくて仕事に没頭してた」
「そうなの?」
キョトンとした瞳が俺を見上げる。
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