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女子同士の独特のノリにも流行の話題にも上手くついていけず、まして異性に対しては距離を計りかねて近づけないでいた亜子の目には、男女問わず社交的でありながら多数派に振り回されない貴子と優美はスマートで格好良く、数段高等な人間に映った。
二人の行けない東京に行って色んな経験をして、再会した時に肩を並べられたら……という密かな願望も進路決定に影響したのかもしれない。
二人が参加した集まりも今回のように、思いついた言い出しっぺが周囲に声をかけた程度の気軽な集まりだったのだろう。亜子だって長い休みのたびに二人と会っている。
除け者にされたと抗議する気は無いし、もし誘われていてもそれに合わせてわざわざは帰って来なかったかもしれない。むしろ気を遣ってわざわざ誘わなかったのかもしれないけど……
しょうもなく幼稚な思考がぐるぐる回る。疎遠になる旧友同士というのはもしかして、こういう小さな何気ない事を繰り返してそうなっていくのだろうか。
「亜子は東京の成人式にも出られたんでしょう。いいな」
優美は亜子の胸中など知らぬ風に話の続きでそう言った。優美の東京への思いは社交辞令でもなければぼんやりした憧れよりも強いようだ。
「成人式なんて、どこもそんなに変わらないってーーどうせ知らない人ばかりだし」
亜子は戸惑いながら苦笑した。
「まるで花魁みたいな派手な振袖とかパリコレみたいなコスチュームとかーートンがってる人はトンがってるって聞いたけど」
結局は経験せずに終わってしまいそうだが。
「ほら、やっぱり楽しそうじゃん。私、東京の病院に就職したい」
「優美もついに出ちゃうのか。ここより小さな村で、夏休みに成人式やる事にしたってニュースでみたよ。この町もいつかそうなるのかもね」
現実派の貴子はため息を吐いた。
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