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彼は最初黙っていたが、しばらくすると落ち着いたのだろう、全て話してくれた。
彼は今日、会社からクビを言い渡されたこと。
そしてやけになって、ずっと街を歩いていたこと。
公園のベンチに座っていると、雨が降ってきたこと。
自分が、ひどく惨めな人間に思えたこと。
話しているときの彼の目は、まるで何かにおびえるように私を見ていた。
「今日は、もう寝るよ。おやすみ」
彼は自分の部屋に入っていった。
私と、湯気が立ち上ったままのホットミルクを残して。
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