叙述

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 ――アリアとカリアは二人で一つの果実。果実と言っても、元は一つの果実だった……と言った方が正しいかも知れない―― 「これが、世に言う奇妙な体験なのかは存じませんが……わたくしにはとても奇妙な体験でしたので此処に明らかにする事と致しました。そう、あれは一種のシェアハウスの様なものでしょうか……ただの不思議ちゃん系居候との同居生活とも言えますかね。その件の同居人はカリアと言う方でした。何時頃のことでしょうか、と、問われれば……つい最近と、答えるでしょう。まぁ、わたくしの記憶が必ずしも確かであると言う確証は無きにしも非ずですが」  そう言って、目の前の人影がぽつりぽつりと語り出したので、僕は紙にペンを走らせ始めた。これは僕、異、栖<スミカ>が親友の矢神 有夜<ヤガミ アリヤ>を亡くして暫くも経たない時の出来事である。
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