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「あ、そういや鍵。あまりのことで忘れてたわ。」
玄関の扉の鍵を…閉まらない。
「ごめんなさい、多分壊してしまいました…」
申し訳なさそうに元村が言う。
「謝るくらいなら最初から壊すな!」
「ごもっともです…」
頭が痛くなってくる。本当に何故わざわざうちに。
いっそのことめぼしいものを盗んでいなくなってくれていたほうが楽だったかもしれない。
「はぁ…あたしシャワー浴びて寝るから。なんかしたり逃げたりしたら即警察だからね。」
「心得ております…」
頭を垂れ、正座のままで元村が言う。
少し気の毒になってきた。
「…足は崩していいから。」
「ありがとうございます!」
ぱっと顔をほころばせる。
どれだけ正座が嫌いだったのだろうか。
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