鍵は後で弁償してもらうから。

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シャワーを浴び、お下がりのTシャツとスキニージーンズに着替えた元村が六畳の部屋に戻ってくる。 細いだけあって、妙に似合うのが気に食わない。 「はあ…ほんと何やってんだろ、私。」 「ですよね。」 「ですよねじゃないよ!…もう今日はつかれた。寝るから。いなくなってたり、私に変なことしたら警察だからね。おやすみ。」 「おやすみなさい。えー、私はどうすれば。」 「ひざ掛けが引き出しの一番下に二枚入ってるから、それかぶって廊下ででも寝てて。」 「…ありがとうございます。」 「もう礼はいいから。変なこと企まないでよね。」 折りたたみのベッドを開き、電気を消す。 変なやつに屋根を貸す羽目になってしまった。 考えるのもめんどくさい。寝る。
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