その魔女、甘党につき

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とある高校では放課後になり、生徒達は部活に行ったり帰る支度をしたりしていた。 荷物をまとめる男子生徒、寺島拓人は教室内を見渡した。 親友の和寿(かずとし)は部活の準備をし、彼女の七海は友達とこれからどこ行くか話し合っている。 それらをちらりと見てから拓人は教室を出た。 帰りにコンビニへ寄り、アイス珈琲を買った。 珈琲マシンにセットし、ガムシロとスティックシュガーを2、3個ずつポケットにいれる。 出来上がったアイス珈琲にミルクを混ぜてフタをするとコンビニを出た。 六月下旬の蒸し暑さにうんざりしながら家に帰ると、拓人は自室に直行した。 冷房器具も無いのに部屋は涼しい。それもそのはず、部屋のあちこちに氷が浮いているのだ。おまけに微風まで吹いている。 「おかえり、拓人。お外は暑かったでしょー?」 つばの広いとんがり帽子に黒の短いマント、豊満な胸を強調するように胸元が大胆にあいた服にミニスカートの女性が涼し気な顔をして言う。 「……暑いのは分かるけどそのハレンチな格好どうにかならないの?ショココ」 「あーら、もしかして照れてるのかしら?」 ショココと呼ばれた女性はふわりと浮いて拓人の前へ行くと、谷間を見せつけた。 「はぁ、別に照れてないから……。それより、はい」 拓人はショココに先程コンビニから持ってきたガムシロとスティックシュガーを渡した。 「きゃー♪ありがと、大好きっ」 ショココは宙に浮いたまま、 スティックシュガーを口の中に流し込んだ。 「んー、幸せ♪」 幸せそうな顔をして頬に手を添えるショココを見て、拓人は信じられないという顔をする。 ショココは魔女。どういうわけか拓人が中学生の頃から部屋に住み着いている。びっくりして父親を部屋に連れてくると彼女は消えたが、拓人だけになると再び姿を現したりしていた。 「私はショココ、甘いものを時々くれればいいわ」 彼女はそんな訳の分からないことを言って拓人の部屋に住み着いている。
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