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「それで?この妾に炎天下の中に姿をあらわせというのか........」
次の日、火の粉さんの自宅にて。先日静電気の精霊にそそうをしてしまった火の粉さんは正座で待機していた。
目の前にて、居候のお雪さんが吹雪を背負って(いつものこと)仁王立ちしている。しかも肩がプルプルと震えている。
「あはは、お願いできますか?」
お雪さんが俯く。
あ、これやばい。と、火の粉さんは笑みをひきつらせる。火の粉の精霊なのに背筋が寒いのは何故だろう。でも、彼女がこのお願いに怒ることは至極当たり前だから決して逃げられない。
夏の火の精霊達はなかなかに忙しい。
皆さん、元気旺盛なのか、冒険者はキャンプファイアーをしたがり、街のおばちゃんはバーベキューをしたがる。なので、四六時中どこかでパチパチと火粉を散らせる必要がある。
ちなみに、火傷した人間。火の粉さんには悪意はない。忙しいのに楽しそうだからやったってことはない。ないったらない。
その反面、夏になると寒い地の雪の精霊以外は引きこもりになる。雪の精霊の夏嫌いは半端じゃない。
数少ない魔法使いの魔法やかき氷の仕事を夏までにくじでやる人を決めてその人に全部押し付けて引きこもるくらいに夏が嫌いらしい。
高位精霊であるお雪さんが何故か自分の家じゃなくて、夏なのでちょっと元気が出てる火の粉さんの家に引きこもっているのは謎だけど。
あ、プルプルが大きくなった。バイブレーションみたい。火の粉さんはそんなことを考えながら遠い目をする。
「くぅぅぅ、なんとなんと、火の粉ちゃん、なんという外道っぷり!!!」
「へ??」
「夏になれば瞬く間に溶けてしまうか弱い妾を炎天下に放り出すなぞ.......くぅぅぅぞわぞわするのぅ!!!惚れ直したぞ我が愛しの君よ!!
よし!行こう!すぐ会いに行こうぞ!その、ながせそうまとやらに!!!」
火の粉さんは、遠い目を死んだ目にランクアップさせた。どうやら雪の精霊さんは強いらしいから大丈夫そうだ。
いや、まってそもそも流しそうめんだから。
ながせそうまって誰??
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