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火の粉の精霊は確かに精霊アパートに住んでいる。世界樹の精霊様が小さな精霊達の為に作ったなかなかに居心地の良い住処だ。
火の粉の精霊もそれには満足していたし、そのままずっと一人で暮らすつもりだった。
でも、そんな時に“彼女”やってきたのだ。
「ああん、火の粉ちゃん今日も可愛いっ!
さあ、さあ、妾と帰りの キスを致しましょう 」
「やあ、ただいま。雪の精霊さん今日も冷たくて綺麗だね 」
「いやん、火の粉ちゃんったら上手いんだからぁ」
帰宅した部屋は猛吹雪に覆われ、その真ん中で白銀色の絶世の美女がくねくねと体を揺らして恥ずかしがっている。
「あははは.....」
“彼女”が来る前なら、チロチロと小さく揺れる炎で彩られていた自分の安住の部屋はどこに行ったのだろうか。火の粉の精霊のそばで小さな火がピチッと情けない音を出して弾けた。
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