梅雨 少し寒いなら甘酒がちょうどいい

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梅雨 人間界の担当地方ではしとしとしとしとと雨が絶えない。 話を聞くに友人の静電気のお兄さんは上司の雷の精霊と連れ立って忙しそうに働いているというが、火の粉の精霊は正反対だ。 鍛冶屋のおっちゃんはヤル気が半減するのか、トンカチすることもなく店番ばかり。 魔法使い達は悔しいことに他の属性に浮気してしまう。 そもそも火事は起きないし。 結局、街の炊事場にお邪魔して竃の火の中でパチリと弾けておばちゃんたちを驚かせる事くらいしかなかった。 火の粉さんと担当地域が同じお雪さんも言わずともわかるだろう。 そういうことで、結局 「暇じゃ」 「暇ですね」 六畳間にて二人は力なくだらりと寝転がり、天上に向かって呟いた。ちゃぶ台の中央から向こう側で基本的に吹雪いている吹雪も少し元気がな........ 「よし!!この機会に妾と火の粉の間に引かれた一線を超えるのじゃ!!!」 訂正、元気過ぎた。 「雪の精霊さん、無理です 」 「何故じゃ!妾のこの熱い想いが届かんのじゃ!」 いやじゃ、いやじゃ、とただをこねる度に吹雪が強くなっているのはきっと気のせいだ、うん。 正直、押掛女房の如く押しかけて来た彼女が吹かせる吹雪の所為で毎日が風前の灯火状態なのに、抱きつかれたらきっと死ぬ。 中は猛吹雪、外は雨。 「なんか.....ちょっと寒いんだ.....静電気のお兄ちゃん 」 遠い目をしてゴロンと寝返りを打つと、たぷんと懐で何かが揺れた。
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