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「赤ずきん、終わったか?」
人が殺されているっていうのに全く動じず、彼女の後ろに平然と立っている若い青年が一人。
そいつの影は人の形をしていたが、頭から獣耳がひょっこり出ている。可愛らしい兎のような耳でも、象みたいな馬鹿デカい耳でもない。
狼さ。
人間のような歯並びながらギラリと光る牙。両手には肉食獣特有の鋭い爪。腕にはかすかに香る血生臭い獣毛。まるで満月のように明るく黄色い鋭利な眼。銀色の糸が混じったかのような気高い尻尾。
その姿は童話に出てくる狼男のイメージを連想させるよう。
もうお気付きかな?彼女が赤ずきんだったように、そいつも狼男なんだ。
しかも、彼は赤ずきんのパートナーだ。
まぁ、恋人って訳じゃない。仕事の相棒って奴だよ。
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