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彼女が男を行き止まりに追い詰めると、バスケットから拳銃を取り出し、弾丸を慣れた手つきでシリンダーに詰め始めた。
「お、おい……!殺さないでくれよぉ……」
男の眼球に目一杯の露が貯められ、今にも泣きそうな勢いだった。しかし、そんな眼されたって彼女はお構い無しだ。
銃口が男に向けられる。彼女が引き金を引くと、男は僅かな所作と音に反応し、より一層顔を歪ませる。
そんな中、彼女はにしりと笑い、この状況を楽しんでいた。何故かって?
男の恐怖に満ちた顔や全身から溢れでる気も狂わんばかりの挙動が彼女の優越感を満たし、何とも言えない密の快感を覚えさせたからさ。
しんと静まる丑三つ時。
街灯近くの街時計が丁度その時間を指した瞬間、男の断末魔と銃声が響き、こだまとなってこの街にゆっくりと沈んでいった。
眉間を直撃した弾丸は男を即死ルートへ導き、この世からあの世へと送る。ドサッと倒れた男は恐怖で満ちた顔のまま死んでいった。
「はは。一丁あがりぃ」
彼女が銃を下すと、背後の気配に気付く。しかし、彼女はそいつが誰だかすぐに分かった。
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