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「何よ分からず屋。あぁやって追い詰めて泣き叫ぶ顔を見るのが楽しいんじゃない。背後から一発で即死なんてクソつまんないわよ」
こんなサイコパス気味な発言にも狼男は慣れっこだった。日常茶飯事だからさ。
やれやれといった表情で赤ずきんから目線を外す。その態度が気に入らない彼女はムッとなり、彼を押し退け、行き止まりの路地裏を後にしようとする。
「おいっ!待てって!」
彼が慌てて彼女についていく。横並びに二人で街灯の下を歩きながら、彼が話し始めた。
「今夜は集会だからな。わかってんのか?」
「わかってるって。あぁ、もう面倒くさいなぁー。何であんな老いぼれどもの演説を聞かなきゃいけない訳?早く帰りたいわぁ」
そう言うと深く溜め息をつく彼女。その時、彼は何やら寝袋のようなものを彼女に渡す。ポイっとね。
「これ、お前の軍服な」
集会はとにかく正装で出なければならない決まりがあったが、別にタキシードだろうが、燕尾服だろうが、きちっとした服装なら何でもいいのさ。だから、大体の人はスーツが多かった。
けれど、彼女達は軍服。何故かって?まぁ、今は置いといてくれ。
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