一話:砂漠の未死体

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そーだね、じゃねーだろ。ドイツだと?どいう言う事だよ。ここは日本じゃないのかよ。せめて鳥取砂丘だったら、いや、それでも冗談にしてはきつ過ぎるだろ。  いや、そーじゃなくて。  あー!ここじゃ、まともに考えられねー。なんか、髭も酷い生えまくっているし、まるでおっさんだな。 「ここから一番近くの街ってどこか分かる?」 「それなら―――」  猫の言うとおりに聞けば、今現在の時間帯は昼前で、そこから一番近くの街は歩けば夜中になるそうだ。  どうしようか迷ったが、行かない事には始まらない。その街に向かう事にした。  所で、スマホは制服のポケットにあったが、ほとんど傷だらけ、画面はヒビが入っていて鉄屑同然だ。あと、場違いにもナイフ、コンバットナイフだっけ、それがが一本。こんな物、何処で手に入れたんだ?  しばらく、喋る事がなく時は進み、日は着々と東から南へ、と動いていくが、おかしなことに腹が減る事もなく、体力が尽きる事もなかった。  そう言えば、砂から起きた時も、重いとは感じたけど怠いとかそんな事はなかったな。  日が沈みかけた頃に、砂漠の地平線の先に砂ではない何かが見えた。 「ようやく、見えた!」  猫は、そう言って、先程無口だったのが一変して明るくなった。 「おい、夜中に着くんだったよな?」 「猫を人と比べないでください」  ツンと正論を言われた。  それはそうと、 「なー、そろそろ自分で歩いてくれない?」 明るくなって、自分で歩き出すのなら良いけど、結局は俺の頭に乗っているのだからタチが悪い。ずっと、この調子。歩いていていたのは俺だけ。 「えー、いいじゃん」 「よくねーよ」  そう言って、自分の頭から地面に降ろすと、そいつを置いて歩き出す。だが、「待ってー」という声が聞こえる。少しずつ少しずつ、その声は小さくなっていき、後ろを振り向いた頃には、かなり離れた場所にいた。ちゃんと歩いているはずなのに、これが、歩幅の差と言うのだろうか。  仕方なく、こちらの所まで来るのを待った。猫は、ここまで来ると、ハァハァと息切れをしていた。また歩かなくちゃいけないのかと言う顔さえしていた。 「……フン」  今回だけ。分からないことはいろいろあるけれど、教えて貰った借りがあるからな。  両手で、また猫の脇の下に手を突っ込み、持ち上げると頭に乗せた。
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