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「勇者御一行だ!」
「この村にも勇者様が……」
唯一、魔王を倒せるという勇者様が村にきた。
私も一目その姿を見ようと村の入り口近くまでやってきて、
大人の合間をぬって前へと進む。
どんな人なんだろう。
キラキラと輝いて見えるのかな。
思わず、背中に天使の羽を生やした素敵な人を思い浮かべる。
いや、人じゃないか。
「ここがあの温泉の村なんだね」
ようやく前へとたどり着き、ほっとしているとそんな声が聞こえてきた。
どうやら村長と話をしているらしい。
見上げると、陽の光を浴びて虹色に輝いている鎧をきたお兄さんがいた。
堂々としていて、かっこいい。
彼をうまく形容する言葉が見つからないなと思いつつも、
見る人すべてが温かい気持ちになれるような、優しさに溢れている人だ。
じっと見つめる視線に気づいてか、彼は私を見て、困ったように笑う。
ああ、私もこんな人の役に立てる人になりたい。
勇者様の後ろに立っている人たちを見ながら、ふぅ、と息を吐いた。
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