雨に泣く

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* 雨が降っている。 春樹と出会った日も雨だった。 出て行くのは雨の日にしようと決めていた。なんとなく、雨が悲しみを半分洗い流してくれるのではないかと思ったのだ。 週末なのでそろそろさくらが来る。そしたら家を出よう。 行くあてはないが、どうにかなるだろう。今までだってそうやって生きてきた。 ガチャ…… 玄関のドアが開く。 「あれ? ナツ……!!」 さくらが両手に買い物袋を抱えて入って来る横をすり抜けて、俺は思い出の詰まった部屋を後にした。
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