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いつの間にか雨をしのげる公園の遊具の中で眠っていた。どれくらい時間が経ったのだろうか。
外を見ると、雨はまだ降り続いている。
「……---ツ! ナツーー!!」
自分を呼ぶ声が聞こえて慌てて声がする方へ向かう。
「ナツ!!」
道路を挟んだ先には、傘もささずにずぶ濡れの春樹が居た。
「っはぁ、はぁ……バカナツ! どれだけ探したと思ってるんだよ!」
全身で呼吸をしながら俺の顔を見据える。
そして、
「見つかって良かった」
と道路を横断する---
『プアァァァァァーーー!』
ドンッ!!
一瞬の出来事だった。
一台の車が春樹に衝突し、春樹は宙を舞い、何度か転がり、そして、動かなくなった。
おい、嘘だろ!? 春樹!!
車はそのまま猛スピードで去って行く。
春樹! 春樹!!
目を開けろよっ。俺は恩返しがしたかったんだ! なぁ、何で俺なんか探すんだよ!
あああぁぁぁぁ……
俺はこんな時無力だ。
何もできない。
誰か助けてくれ。
誰か、誰か、誰か!
………さくらなら!!
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