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乳母の後につづいて、乳母子の仲頼がやってきて、
「そこの角に意味深な八ツ葉の車がとまっているが、誰だか心当たりありませんか? 中にはお供がひとり寝ていて牛が繋がれてます」
と言ってきます。
それ聞いた二条は「あな、あさまし=驚いた、ああみっともない」などと思います。
八葉の印は身分の低い六位を指すので、乳母は
「放っておきなさいな。もしこれが二条の間男の車なら、しょせん二条は六位ふぜいと契る女だということよ」
と高笑います。
二条はもちろん憤慨しますが、この八葉の車が誰の車かを巡っては諸説あり、定まりません。
まあどの説を取っても「誰のかは知らんが二条の間男にゃー違いない」というのだけは一致してるのが凄いんですがw
ある意味、信頼と実績の二条です。
ちなみに諸説とは、
①お忍びで来た亀山天皇の車
②お忍びで来た性助法親王(有明)の車
のだいたい二派に別れます。でも私はどちらにも違和感を感じます。
物語の流れとして「実兼との浮気がバレそうだ」と二条が焦って、そこへ車の話題が出てきて「驚いた、みっともない」
と思うのだから、そりゃ当然に実兼の車だろうと思うのですが。
乳母の嫌味を聞いた実兼が、
「六位宿世とや咎められむ=六位ふぜいが出入していると咎められるのかな(クスッ)」
などと言っていることからも明白だと思うのですが、実兼の車説はいまだに見たことがありません。なぜだ。
この当時の実兼は正二位なので、部下の車を借りたかもしくは六位の頃に使っていた車を、お忍び用に使ったんだろうなとしか私には思えなかったので、本編ではそうしました。
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