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エブ歴五月十七日
一年経ち、卒業前の進路相談で騎士軍への勧誘も打診されたが、それは丁重に断り、私は迷わず森の中の切り石造りの家に戻った。
「カーリャ様! ただ今戻りました!」
アトリエに飛び込み、一年ぶりの再会の興奮に思わず声が跳ねる。
「うるっさいわねー」
なめし革の表面に何か薬品のようなものを塗り込んでいたカーリャ様は振り向き、さも迷惑そうに眉をひそめた。
「ま、ちょうどいいわ。こっち来て服脱いで。下着もね」
「へ!?」
そ、そんな! いきなり! こここ、ここで、ですか? 神聖なアトリエで、ですか!?
オカマになったと言え、カーリャ様もやはり男だったのですね……!
「早くしてよぉ。アタシ、グズは嫌いよ。サイズ測るだけなんだから、さっさと脱いで。あんたの裸見たって嬉しくもなんともないわ。子供の時にイヤってほど見たしね」
「さ、サイズ……?」
「あんたの新しい鎧を作るの。あぁ、その、あんたが軍から支給されたヘボい鎧は捨ててね。体に合わないダッサい鎧見てると虫酸が走るわ」
脱力。
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