Today is a peaceful day.

1/27
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ

Today is a peaceful day.

 朝露に濡れた木々の間を、小鳥が飛んでいる。  深い森を抜けると、そこはぽっかりと広がった草原で、その終わりは海を望む小高い丘になっていた。  その丘の上に、一軒の小屋が建っている。  それは土と煉瓦で作られていた。装飾のない粗末な造りだが、住む人を守るために丈夫に出来ていた。少しずつ劣化した壁や瓦が、それまでの長い年月を物語っていた。  深い森の、広い草原の先。人々から忘れ去られたように、その小屋はぽつんと佇んでいた。小鳥は煙突の上でしばらく休憩していたが、すぐに未練もなさそうに飛び立っていった。  その小屋の中には、二人の人間がいた。  内装は質素だった。台所と、暖炉と、いくつかの家具。一人は、窓に面したベッドの上で上半身を起こしている。 「おはようお兄ちゃん。今日もいい天気だね。とっても気持ちいい」  声は高く澄んでいる。長い髪で、美しい顔をした女性だ。外見年齢は二十歳ほどで、素朴な女性用の衣服を身に着けている。 「それはなによりです、姫様」     
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!