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「ほっ、ほっ」
先導者が軽快な声と共に進んでいった。コンクリート製と思われる段差を。
前が見えないのでどこまで続いているのか確かめようがない。腕を引いてくれる彼女だけが頼みの綱だった。
「次はこっち。右ね」
「分かった」
「疲れない?」
「体力的には余裕だけど精神的にはキツいよ…」
「あっはは! もう少しで頂上だから頑張って」
口と下半身を同時に動かす。躓かないように細心の注意も払いながら。
「は~い、到着」
そして何度も同じ行為を繰り返してようやく最上部と思われる場所に到達。踏みしめる感触が硬い材質から土へと変わった。
「もう良いの? ゴール?」
「ん~と、もう少し歩こうかな」
「えぇ……今、到着って言ったじゃないか」
「あっちの方が景色が綺麗なの。男の子なんだから我慢する」
「はぁ…」
安堵したところで再び腕を引かれる。止めていた足を動かし始めた。
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