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ため息を吐き、窓に目を向けると、掛けられたカーテンの隙間から、滲んだような青色が漏れていた。
そこから微かに見えるほの暗い街並みに人の気配はなく、鳥の声すらも聞こえてこない。
まるで、この場所にはお前しか存在していないのだと、世界から言われているような気がした。
あと一時間もすれば聞こえてくるはずの新聞配達のバイクの音や、眩しく照らしてくるであろう朝の光。そうした街の目覚めが、幻想のように思えた。
街は、変わらぬ姿でただそこにあり、この場所に淡い光を届けている。
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