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俺達が案内された席は、店内でも一番奥の角の席だった。
構造上、他の席から死角になっていた。
失恋話にはもってこいな閉鎖的な場所で、これでもか!と焼き肉を食べ続けた。
ウーロン茶で酔ったのか?
今日の三島はいつになく饒舌で、ぶっちゃけたトークを繰り広げた。
「私もね、莉奈の事好きだった。友達として、よりも…ちょっと上の好き。
どうにかなりたいとかじゃなくてね、もっと…何て言うか…とにかく特別だったの。
莉奈が…先輩に穢されちゃう…。
それならまだ、鉄平の方がマシだった。」
まだマシって…。
「三島さ、俺の事嫌いだろ?」
「何で?嫌いではないよ。
邪魔だな、とは思ってだけどね。だっていつも莉奈に付いてくるから。」
「それはお互い様だ!」
失恋した者同士妙な連帯感で結ばれ、そのまま恋に発展…はしない。
「トイレ行ってくる!追加頼んどいて。俺はまだまだ食える!」
席を立って一歩進むと視野は一気に開ける。
何かが変だと思いながらトイレに行き、用を済ませて戻って来る途中で気がついた。
相手には気付かれないようにチラチラ見ながら、三島の待つテーブルに戻った。
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