腐男子の目覚め

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駅のホームに立ち、会話もなく二人で遠い目をしていた。ほぼ同時にスマホにメッセージが届いた。 「莉奈…。」 「はぁ、完璧失恋だー!『おめでと!今度話聞かせて!』っと。はい、送信~。 三島、失恋のヤケ食い付き合ってよ。」 先輩と並んで撮った写メと、OKイタダキマシタの文字。 泣かないようにちょっと上を見上げた。 「焼き肉ならいいよ。 どうする?食べ放題にしようか?」 「オーダーバイキングな。」 「じゃあ…二駅先の?」 「よし、決まり!食うぞ!」 三島はあんまりペラペラ喋るタイプじゃなくて、莉奈ちゃんの事がなければ、たぶん俺達の接点はないままだった。 だけど、こうして出会った事は、やっぱり意味が有って、今日、この後焼肉屋で、俺の今後を大きく変える発見をするのだ。 三島を師匠と呼ぶのは、もう少し先の事だ。
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