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真紀をそこに残して、隣の部屋にいってコートを着て、軽くメークを直してからまた玄関に戻ると、龍と真紀が何かを話しているようだった。
近づいていくと、龍が手を口にあててなんだかちょっと考え込むような表情をしていた。しかも顔が少し赤い。
「龍、何かあった?」
「どうして?」
龍がビックリしたように私をみた。
「ちょっと顔、赤いよ? この部屋暑い?」
真紀が我慢できない、というふうに吹き出した。状況がわからなくて、龍の顔を覗き込む。
一瞬、目を細めて切なげに見えた表情が、すぐにちょっとからかうような楽しげなものに変化する。
すっと私に向って伸ばされる腕。首の後ろにまわされた手のひら。あっと思ったときにはキスされていた。
「龍?!」
真紀がひゅっと息を吸い込む気配がした。友達の目の前でいきなりキスされて混乱して頬が一気に熱くなる。
唇が離れたあと、龍はにっこり笑って言った。
「瑤子も顔、赤いよ?」
「意味わかんないし!」
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