夢の余韻

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「こういう時の瑤子の顔、すげえ好き」  龍は薄暗い部屋にじわりとにじむような微笑みを浮かべた。私の気持ちなんてすぐに見透かされてしまう。隠すことなんてできない。 「龍、だから早く紐を……」  私の言葉は龍の唇に吸い込まれた。ゆっくりと舌が差し入れられる。夢中になってその舌を追いかける。けれどするりとかわされ続けて、途方にくれる。  どうしようもない飢餓感。涙がにじむほど苦しい。ふいに舌を絡めとられ激しく吸い上げられた。  龍から受けるそのキスは、麻酔のように全身を痺れさせていく。彼から激しく、強く求められていることをはっきりと感じた。けれどそんな甘い陶酔の中でも、なぜか涙が滲んでくるのを抑えられなかった。  唇が離れた瞬間にはもう、名残惜しさに喉を鳴らして目を細めてしまっていた。きっと私は龍のすべてが欲しいと無言でねだっている。  そんな私の表情を見て、龍はまた微笑む。とてもいとおしそうに。
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