平成親子喧嘩~楽しんでやることは努力とは呼ばない

6/8
前へ
/8ページ
次へ
 そこで本をたくさん読んだ。  楽しい日々だった。  でも、やっぱり、楽しんでやることは努力ではないのだ。  退院した。  そこで本当に楽しいことをしようと思ってしまった。  だから、3000枚の原稿を書くのも、少しも努力ではないし、楽しかった。  そして、またそれを認めてくれる人が現れた。  そして、商業出版デビューもした。  推理作家協会にも入った。  世の中の常、多少揉めたこともあった。  でも、ほんとうに困ったことはなかった。世の不条理さはそんなものだ。  困ったのが、私のことだった。  私には良くないクセがたくさんある。  片付けも下手だし、記憶も注意力も良くない。  今でも家に鍵をかけ忘れたと思って、バスを途中下車して確認に帰宅することもある。  鍵をかけ忘れたことはないのだが、いつも自分を苛む癖がある。  それは許されないことだった。  治す工夫と努力をせまられた。  でも、できなくて、どうやってもとても時間も体力も必要で、私はつらかった。  そして、元嫁が現れた。  親はそれを許さなかった。  口喧嘩が続いた。捨て台詞の応酬で毎日へとへとになった。  結局、元嫁の家に逃げ込んだ。駆け落ちということになったが、逃げたのだった。     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加