第1章

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座り込んでいた男は俺の気配に気が付いたのか、俺の方を向く。 そいつの口から赤い液体が滴り落ちている。 ぞ、ゾンビがいた。 周りを見渡し武器になりそうな物を探す。 ゾンビが立ち上がった。 え!? 俺は立ち上がったゾンビが手にしている物を見て、目が点になる。 人肉を頬張っていると思っていたのに、其奴が手に持っていたのは、右手にキュウリ、左手にトマトジュースのペットボトルだったから。 外にいるゾンビ共と違い、此奴は少しだけ知能が残っていた。 知能が残っているとは言っても、他のゾンビに比べれば、だけどな。 何故なのかなんて学者じゃ無い俺が分かる訳が無い。 他のゾンビと違っているのは、此奴がベジタリアンだという事くらい。 で、其奴と何とか意思の疎通をはかり、共にこの邸宅で同居する事になる。 そ、このベジタリアンのゾンビが俺の相棒なのさ。 俺は相棒の為に庭で野菜を育てる。 相棒は俺の為に、食料や生活必需品などを調達するため、ゾンビが徘徊する外に出かけて行く。 俺達が同居を始めて3年、これからも相棒と2人で暮らしていくことになるのだろうな。
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