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俺は門の閂を外し、門をほんの少し開けて外の様子を窺う。
ヨシ、大丈夫だ。
後ろを振り返り相棒を手招きして、外に押し出す。
「気を付けろよ」
俺の言葉に相棒は頷きを返し、必要とする物資の調達に向かった。
相棒の後ろ姿を暫く眺めてから門を閉め、閂を掛ける。
それから邸宅の裏にある広い庭に行き、野菜畑の雑草取りを始めた。
俺が相棒と出会ったのは、あの忌まわしい厄災の日。
ゾンビの群れに追われていた俺は逃げ込む場所を探し、通りに面した家の門やドアを手当たり次第に押したり引いたりする。
だが、どの門もドアも硬く閉め切られ開かなかった。
この邸宅の門以外は。
門の内側に逃げ込み閂を掛ける。
暫く門に寄りかかって息を整え、それから邸宅の中に足を踏み入れた。
邸宅の中に人の気配は無い。
それでも息を潜め、ゾンビがいたら即座に逃げられるように身構えながら奥に進む。
と、耳にボリボリバリバリと何かを咀嚼している音が入った。
ヤバいかもと思ったが好奇心に負け、音のする方に足を忍ばせ近寄る。
広い台所の真ん中に男が1人座り込み、何かを咀嚼していた。
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