逃走

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道なき道を切り開きつつ進む一団。彼等は腕のたつ冒険者であった。 「イチドー、そろそろ休憩にしよう。」 「そうだな。おーい、休憩にするぞ。皆集まれ!」 イチドーと呼ばれた男を中心に、剣を持つ男たちが草を払う。そこにやってきたのは、年寄りや幼子、女性といった戦闘に向かなそうな人達。 「よく頑張ったな。偉いぞ。」 男達は子供を気遣い、座らせて水筒を差し出す。受け取った子供達は、ぬるくなっていた水を貪るように飲み出した。 「これっ!す、すいません、貴重な水を……」 「心配はいらない。俺達冒険者は慣れている。あなたも飲んでおいた方がよい。」 子供の母親らしき女性が頭を下げたが、冒険者は女性にも水を飲むように促す。 「こんな深い森を歩くんだ。かなり体力を使っただろう。水分を摂らないと倒れるぞ。」 「ショタコーン帝国から逃れるためとはいえ、キツい道中を強いている。済まない。」 「頭を上げて下さい!帝国に虐げられていた私達を救って頂いたのです。感謝してもしきれません!」 彼等は、ショタコーン帝国からの逃亡者であった。
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