建国、そして

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森の中に逃げ込んだ王子の前に、新型のゴーレムが座っていた。 開いていた操縦席に乗り込む王子。 「こいつを動かせれば……あれ、これは!」 王子の目に止まったのは、無意識に持っていた本。それはこのゴーレムの操縦マニュアルだった。 急いで目を通し、動かし方を覚えた王子はゴーレムを起動させた。 「こいつ……動くぞ!」 立ち上がり、周囲の状況を確認すべく見回す新型ゴーレム。しかしその動作は、襲撃者に身を晒す事にもなった。 「王国の新型か、これを捕らえれば出世間違いなしだ!」 「来たっ、やってやる!」 帝国のゴーレムを迎撃せんと構える王子。放たれた右ストレートを、左の腕で防ぐ。 「よし、防げた。反撃を……ガハッ!」 逆襲に転じようとした王子は、いきなりの衝撃に意識を飛ばしかけた。 正面の敵に気をとられ、右方向から迫った敵に気が付かなかったのだ。 いくら新型のゴーレムであろうとも、戦いに素人の王子が戦いの専門家二人を相手に勝てる筈もない。 組伏せられ動けなくなったゴーレムから引き摺り下ろされた王子は、そのまま帝国へと護送されてしまった。
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