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1、
「にゃあ」
いつもの帰り道、いつもの塀にいつもの野良猫。
「ノラ吉、今夜も元気そうだね」
声をかけると彼はぴょんと飛び降りて私の足にすり寄ってきた。
「なーん」
丸い頭を撫でまわすと、ゴロゴロと喉を鳴らしてまとわりついてくる。
「飼えたらいいのにな」
私のアパートは古くてボロいくせにペット禁止で、金魚ですらダメだと言い渡されている。ペット可の物件に引越す余裕もない。
「お腹すいてる?」
トートバッグから百均で買った猫のカリカリを取り出し、手のひらにあけて差し出す。疑いもせず食べはじめる姿に小さな幸せを感じた。
野良猫にエサなんて良くないことかもしれないが、たまにこうして孤独を分かち合うくらい大目に見てもらいたい。
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