* 六花の涙 *

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           * 「蒼はさ、仲良い友達とかいるの」 コンビニで缶チューハイやポテトチップスを買い込み、ダラダラとコタツで酒を(あお)っていると、ソファで横になる光が尋ねてきた。 おれは缶を振って中身が入っていないことを確認すると、両端をへこませて透明ゴミ袋に投げ込んだ。 「いないな」 「サークルとかバイトとか、ほかの奴との関わりって持ってないのか」 光の口調が急に熱を帯びていくので、おれはなにかへまでもしたかなと焦るくらいだった。 「なにも」 「暇なときとか、なにしてんだよ」 まるで氷の剣を喉元に突きつけられるかのようだった。 おれは新しい缶のプルを開けるのをやめて考え込む。 「そうだな。小説読んだり映画鑑賞したり。一人でずっといるな」 「……やっぱりか」 光は息を吐いて天井を見上げた。 「なんか以前より、雰囲気が暗いんだよなぁ」 「そうだったか。気がつかなかった」 「蒼は危ういんだよ。やっぱり他人と一緒にいるのが、いやなのか」 おれは正直に首を縦に振ると、光の眼が悲しい色に染まった。 それがつらかった。 自分だけの感情なら平気だ。 けれど光が傷つく瞬間を見ると平静を保てなくなる。 「傷つかないでくれ、光。おまえが悪いんじゃない」     
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