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気づいたら、泰介のいる病院に着いていた。
「姉ちゃん。どうしたの?急に。」
頭に包帯を巻いて、一命を取り戻した泰介。
時々、腕が震えるって言っていたけれど、それぐらいの後遺症でよかった。
「……お姉ちゃんね。何だか、疲れちゃって。」
私は、泰介のベッドに上半身を放り投げた。
「姉ちゃん。頑張り過ぎたんだよ。」
「うん。」
「これからは、俺がいっぱい勉強して、姉ちゃんを楽させてやるから。」
「……うん。」
また涙が零れてきた。
勇介さんの元を離れて、お母さんとも決別してきて、何もかも失ったなんて、どうして思ったんだろう。
私には、泰介がいるじゃない。
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