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その日の内に、本田さんに契約解除を申し出た。
『え?何だって?』
「だから、契約解除です。」
本田さんは、突然の事に少し戸惑っているようだった。
『あの女か。』
どうやら本田さんは、母が家に来た事を知っているらしい。
『あの女とは、何でもないんだ。』
「でも、別れられないのでしょう?」
本田さんは黙っている。
彼は優しい。
家庭を捨ててまで、自分を選んでくれた女を、捨てる事なんてできないのだ。
『考えなおしてくれ。』
「散々悩んで、出した答えです。」
私はそう言って、電話を切った。
これでいいのだ。
私達を裏切った母親と、同じ男を共有するなんて、絶対に有り得ないから。
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