97人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくして会社の目の前に、本田さんの車が停まっているのが見えた。
きっと、私と直接話をしたいのだろう。
でも、話す事はない。
だってもう、契約は終わったのだから。
私は会社の裏口から、出ようとした。
その瞬間だった。
誰かに腕を捕まえられた。
「先輩……」
それは、三宅先輩だった。
「いいの?彼、迎えに来てくれているわよ。」
私は黙って俯いた。
「一度、話をするべきよ。」
「話なんてそんな……何を言うんですか?」
あなたの一番大切にしている女性は、私の母親だって?
そんな事、言えない。
「だったら、正々堂々と表から出るべきよ。裏から出るなんて、卑怯だわ。」
最初のコメントを投稿しよう!