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「懐かしいね!」
「確か、今はこっちに戻ってきたって言ってたような気がする」
「本当!? じゃあ、今度三人で遊ぼうよ!」
「え、何勝手に決めてんだよ。てか、どこに住んでるかも知らないのに……」
「また一緒に遊ぶ時に訊いておいてよ」
梓は俺の背中を叩いて笑う。地面を強く蹴り、制服のスカートをなびかせた。いきなり走り出されて、俺は何も反応が出来なかった。叩かれた勢いと走り出した勢いに負けて、前に倒れそうになる。
「あっぶね! おい、梓!」
「約束ねー」
二、三歩前に進んで、どうにかバランスをとる。俺が正面を見た時には、梓は離れたところから笑顔で手を振り、女友達の輪に混ざっていた。
「勝手に決めやがって……」
悪態を吐きながら、俺は制服のポケットからスマホを取り出す。連絡チャットアプリを起動して、祐真にメッセージを送る。別に俺だって祐真と逢いたくない訳じゃないし、断る理由もない。ただ、いつもゲーム内で逢ってるせいか、実際に逢おうと言うタイミングを逃していたのも事実。
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