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ここは梓に言われて~と梓のせいにしておきながら、心の中では感謝をしておく。
★☆
昼飯を食い終わり、午後の授業が始まって二〇分くらい経った頃、俺は机の中からスマホを取り出した。先生にバレないように教科書で上手く隠して、画面をタップ。連絡チャットアプリを起動して、トーマと書かれた覧を押す。
(まだ既読になってない……)
朝、登校時間に送ったメッセージ――多分、八時三〇分前――が読まれてない。いつもなら遅くても昼休み前には、既読がつくのに……。
今日に限ってスマホを家に忘れたのか? そう思い、机の中に仕舞おうとした、その瞬間。知らない名前がトーマの名前の上に表示された。
(誰だ、コイツ)
眉を顰めて、首を傾げる。
名前は――ゲームマスターと書かれてた。
(ゲームマスター?)
その呼び名には、心当たりがある。祐真と一緒にやってるオンラインゲーム――人狼ゲーム――の管理人が、確かそんな名前だったはず。でも、なんで俺の個人的な連絡先を知ってるんだ?
『――このIDが俺の連絡先な』
「あ……っ!」
思い出した。前に祐真とゲーム内の個人チャットで連絡チャットアプリのIDを交換したことがある。他の奴にはわからなくても、管理人であるゲームマスターは知ることが出来たのかもしれない。
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