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『仕事と私、どっちが大切なの?』
今まで付き合ってきた女に、何度そう聞かれたかわからない。
その度に俺は。
『仕事に決まってるだろう』
正直にそう答えてきた。
そう言うと殆どの女は俺の元から去っていった。
付き合う前までは『仕事に一生懸命な男が好きだ』だの『仕事ができる男性に憧れます』だの『仕事にプライドを持っている人が素敵だ』だのと散々言っていたのにも関わらずだ。
男は自分の選んだ仕事を一生やり遂げなければならない。
その責任をわかっているのだろうか。
仕事か女かを秤にかけさせようとする神経が理解できない。
女に現を抜かして失う物の大きさ以上の価値が、自分にあるとでも思っているのだろうか。
だとしたら現実を見つめることをお薦めする。
まぁ、そんなことを心の中だけで思わずに口に出してしまうもんだから、女から激怒され振られるのだが。
傷つかないと言ったら嘘になるけれど、そんな女と付き合い続けたいとは微塵も思わない。
俺の中で女は未知の生き物で、到底理解しようもない生物だと思っていた。
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