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「通報?」 エイジが不審そうに柳眉を寄せた 「おかしいですね。緊急を要する患者であっても、裸身で院内に運び入れたりしません。その方は透視能力でもあるのですか」 「言えません」 「通報などなかったのでは?」 「市民の不安を取り除くべく伺いました。我々を試験管の元へ案内して頂けますね、エイジさん」 突っぱねることで、外科病棟を調べさせろと騒がれるのも面倒だ。沈黙していたエイジは白衣を翻し 「こちらへ」 歩きだした 「そこまでだ! 中止しろ!」 「親の同意のない妊娠適合手術は違法だぞ!」 エイジより先に解剖室へ踏み込んだルイーズとレイが口を閉じて、ハンカチで鼻の前を扇いだ。換気扇は作動しているのだが、解剖室独特の臭いを取り除くには動力が足りてないようだ 「やだなあルイーズさんにレイさんまで。人聞きの悪い言いがかりは止して下さいよ」 右手に脂の乗ったメスを握るナイトが、薄く笑う。助手のアイ《人工知能ロボット》も同じように、薄く笑った。妊娠可能者保護法が施行され半年、法の保護を求め、精子提供者の元から逃げ出す試験管ベイビーを補導するため、何度も押し入るルイーズとレイはアイとも顔見知りだ
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