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「それにしても臭いなこの部屋は。試験管の臭いだろう、吐きそうだ」
「解剖中ですからね。あなた方も不審な死を遂げたらこういう臭いを放つさ、解剖されないよう気を付けて下さい」
「解剖だって?」
ルイーズとレイがハンカチで鼻を覆い、ナイトの手元を覗き込む。顔なし。頭部はあるし、首も繋がってはいるのだが顔面が打ち砕かれ、原形を留めていない。その顔面をエイジが指でなぞる
「顔骨が長く伸びて見えるのは、失血死するまで被害者に意識があったからでしょう。悲鳴、神への祈り、怨嗟。彼が発した最後の言葉は分かりませんが、酷いものです」
「・・・・・・うっ」
前屈みになったレイがトイレへ突進していく
「おや失礼。日夜試験管ベイビーを追い回してらっしゃるので、拷問を受けた屍体も見慣れてらっしゃるかと」
「エイジさん」
エイジの皮肉にルイーズの顔が険しくなった。当のエイジは何を考えてるのか読み取れない笑みを浮かべ、ルイーズを見返す
「我々が探しているのは極秘に運び込まれた試験管だ。コレがそうだと?」
「そうです」
「病院には患者がいますからね、屍体を人目に触れさせ運び入れたりしません」
エイジが頷き、ナイトが補足する
「ああ、外科医の腕を磨くために解剖すると仰ってましたね。だが、我々が捜してるのは親の同意なしに妊娠適合手術を強行しようとする試験管だ。ソイツじゃない」
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